令和の米騒動
簡単な概要
私の問いは、なぜ令和の米騒動が起きたのかです。私は母の友人からその存在を知り、探究のテーマとして一年近く追い続けました。この問いに対し、私は原因は一つには絞れないという仮説を立てました。当然といえば当然ですが、物事に問題が生じた時、原因となる事柄は複数あることが多いと思ったからです。


活動の流れ・内容
調べようと思ったことは主に二つで、米騒動の原因は何かと今後の米の流通の見通しについてです。最初はインターネットを使って調べていましたが、情報が溢れ返る社会の中で、パソコンからつながる世界だけでは情報の信憑性に欠けると気づきました。そこで私は学校の職場体験の期間を利用し、農林水産省、JA全中に直接対面でお話を伺いに行き、今日の米の事情について多くのことを学びました。
また、秋田県の農業関係者の方にもお話を伺い、米農家の実情を知りました。多角的な視点でリサーチを進められたことで、探究がより深いものになったと考えています。

活動の様子・学びのプロセス
リサーチの結果ですが、やはり直接お話を伺いに行ったことで、いろいろなことがわかりました。
まず、米騒動の原因は主に五つ。
1つ目に需要の急増。8月に発表された南海トラフ臨時情報を受けて、焦った消費者がお米を買い占めた。買い占めはしていなくとも、需要が一時的に急増したことで流通が滞ったと伺いました。
2つ目に生産量の低下。これは近年言われ続けている問題ですが、後継者不足や、今は廃止されたものの未だに尾を引いている生産調整などのことです。「リサーチ結果1」に映っているグラフは米の生産量の推移ですが、年々低下していることが読み取れます。今に始まった問題ではないですが、需要と供給のバランスをギリギリで保っていたところに南海トラフ臨時情報という予期せぬことが起き、バランスが崩れたと言えそうです。

3つ目に政府の対応の遅れ。農水省で令和の米騒動の原因は何か尋ねた際に、備蓄米は、生産量が例年に比べ急激に低下した時に放出するという従来の決まりに則った結果、対応が遅れてしまったと伺いました。そのことが、今もなお米価格高騰という形で続く令和の米騒動の原因になったようです。
4つ目に流通経路が増えたこと。これは米騒動が起こった原因というよりも、今もなお米騒動が続き、消えた米や備蓄米の行方などという言葉が飛び交っている理由に近いかもしれません。米需要が高まる中、農家の中にも少し高くても良いからお米を売ってほしいという親戚や知り合いに取れたお米を売るという経路や、ネットでの販売など、今までの全国のJAに売ったお米が市場に出回るというのとは違う新しい流通の形が増えたことで、米の居場所を追いづらくなり流通が滞っています。
5つ目にメディア社会化の影響です。真相の見えづらい問題への見解がワンタッチで見られるインターネットが普及したことは、社会に少なからず影響を及ぼしました。中には消費者の不安を煽るような記事もあり、政府JA、生産者、消費者の間で正しい情報がスムーズに共有されなかった原因になりました。
今後の見通しについてですが、2月に農水省を訪れた際は、ちょうど備蓄米を放出する制度を整えている頃で、備蓄米の放出とともに米価格高騰は収まるはずだということを伺いました。一方、JA全中や農業関係者の中には、その言葉を楽観的だと感じる声もありました。実際、年度が変わった今も米価格の高騰は収まっておらず、見通しの詰めが甘かったことも消費者からは指摘されています。以上がリサーチの結果ということになります。

成果・仮説の検証
結論、令和のコメ騒動は、生産量の低下、需要の急増、対応の遅れ、流通経路の多様化、メディア社会化の影響など、多くの問題が重なって起こったといいます。また、インタビューで私たち消費者にできることを伺ったところ、どの立場の方もまずはお米をたくさん食べてほしいとおっしゃっていました。また、農家の実情を私たちが自ら調べ、日本の第一次産業が抱える問題について考えることも重要だと伺いました。

最後に、私が将来勉強してみたいことについてです。スライド資料(将来勉強してみたいこと)にもあるように、政治家への道のりを学びたいと考えています。今回の探究を通して私が思ったことの一つに、立場の異なる人々が一つの課題を前にして同じ方向を向けていないということがあります。
学校でのクラス単位でもそうなのに、国という規模でこのようなことを実現するのは非常に難しいと思います。ですが、私は探究学習や普段の学校生活で学んでいることを活かして、まずは自分にできることから国の、そして人の役に立ちたいと思っています。加えて、今年度の探究についてですが、すでにテーマを決めています。今年度は「米の需要を増やすには」ということをテーマに、日本米の可能性についても深めていく予定です。

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